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2021.06.30
自分らしい働き方ってなんだろう?都留文科大学を卒業後も都留市で働く若者たちのチャレンジ 【イベントレポート】これからの働き方を考える vol.2
2021年6月27日、山梨県都留市にて生涯活躍のまち事業を官民連携で推進するまちづくり法人「まちのtoolbox」主催のオンラインイベント「ノーノーマル時代。これからの働くを考える vol.2」が開催されました。
【登壇者】
伊藤 瑠依さん(都留文科大学卒、フリーのデザイナーとして都留市で働く)
黒澤 駿さん(都留文科大学卒、フリーのウェブディレクター / ライターとして都留市を拠点に働く)
山本 理恵さん(都留文科大学卒、民間企業を経て、都留市役所で働く)
【ファシリテーター】
小川 悟 さん (東京都生まれ。山梨県都留市へ移住、移住相談員/キャリア相談員として勤務)
イベントレポート
はじめに
小川悟さん(ファシリテーター:以下F)
「本イベントでは、働き方のバリエーションが豊富になっている昨今、都留市で様々な生き方・働き方に挑戦されるゲストの方々をお呼びして、お話を伺っていきたいと思う。
今回(第2回)は山梨県都留市にある『都留文科大学』を卒業した後、地元ではないけど、都留市で働く3名の方々をお呼びした。なぜあえて地方である都留を選び、今の仕事を行なっているのか、そしてお三方にとっての仕事・働くこと・これからのこととは何なのか、お聞きする機会になればと思う。」
1 自己紹介
伊藤瑠依さん
「都留市でデザイナーをしている。都留文科大学を選んだ理由は、学費が安く、自分の学力で入れるからということで、こうなりたいからという理由はなく選んだ。
卒業後は、すぐにフリーランスとして活動した。デザイナーになったきっかけは、大学時代に大学の地域交流研究センターで作っている都留市を紹介するような小冊子のフリーペーパーを作るサークルに入ったこと。そこでデザインに興味を持って、独学で学ぶようになった。入ったのが地域交流を行う学科で、地域の人と交流する中で、パソコン使えるならチラシを作ってというようなお小遣い程度で仕事を依頼されるようになって、現在に至っている。」
小川悟さん(F)
「学生時代からまちに出ていたのか。」
伊藤さん
「学科の影響が大きい。授業自体が、フィールドワークで地域に出て活動をして得た学びをレポートにするという形だったので、都留の商店街で話を聞いて、イベントをしてという流れでつながりができた。」
黒澤駿さん
「ウェブのフリーランスがメインで、ウェブサイトのライティング、取材のライティング、企業のサイト運営を主にやっている。都留文科大学を選んだ理由としては、深い理由はない。海外の文化に興味があったので、前期では東京の大学を受けていた。中期日程で受けていて、たまたま都留に来たという感じ。ただ、地元の新潟を出ようとは思っていた。比較文化学科に入って、2年間休学してから卒業して東京外国語大学の大学院へ進学をした。
その時からウェブのフリーランスになろうという気持ちはあったので、進学した後も仕事をしながら学んでいたという形。なぜ、この仕事を選んだかというと、大学院に週3日通って、週4日は都留にいるという生活の中ではアルバイトが難しく、週3日は大学院で学んで、その移動中の電車か都留市にいる間に仕事をしてという生活をしている中で、結果としてウェブの仕事になった。
職業を選んだのではなく、都留に残るというのが優先で、その後に仕事をどうしようかと選択していった結果、この仕事になったという形になる。」
小川さん(F)
「大学院は何を学んだのか。」
黒澤さん
「中高の英語の教育免許を取りたいと学部に入ったが、教育制度に関心が出た。教育機関にインターンができたり、海外への研修の機会もあるということで、東京外国語大学に進学した。その結果、教員免許以外の資格も取得することができた。ただ、今の仕事とは関係なく、そこは課題かなと思っている。」
山本理恵さん
「徳島県の鳴門市出身。都留文科大学を選んだのは、前期、後期を選んで、中期でこういう大学があると高校の先生から言われて受験した。その時は都留という漢字の読み方も知らなかった。前期と後期がだめだったので、中期で合格した都留文科大学に進学した。
卒業後は、証券会社の総合職で営業をしていた。子どもができたのが転機となった。育休、産休を取得して会社を休んでいる間にその後のことを考えるようになり、都留市役所に平成26年に合格してどうするか迷ったが市役所に入ることにして、今は企画課で働いている。今の仕事を選んだ理由は、働く場所が1つ。前の職場は甲府駅前で、今は都留市役所。もう1つはこれが最優先のことだが、子どもを育てる環境。前の職場だと夜遅くまで働くことが当たり前だった。また、営業をしていた時に都留市の人と接する中で受け入れてくれる人が多いと感じて、子どもを育てるのに良い環境だと思い、都留市を選ぶことにした。甲府の時は竜王に住んでいて、山梨県で言うと都会で、子どもの数も多いところだった。保育園も選べないというのも聞いていた。自分で選んだところに入れたいと思っていたので、それも都留市を選んだ理由になる。」
小川さん(F)
「実家に帰るというのも選択肢としてはあったのか。」
山本さん
「大学卒業時点で徳島の企業は一社も受けていない。それは、その当時付き合っていた主人が都留市の人だったので、山梨に残ろうと思っていたことが1つの理由。」
2 キャリアイメージ(大学卒業時・今)
小川さん(F)
「自分の生き方、働き方はどう変わってきたのか。学生時代にどのようなことを考えて、どう過ごしていたのか。」
伊藤さん
「高校まではあまり将来については考えていなかった。大学に入った方が生涯賃金が上がるから入ろうという程度だった。大学に入って、フリーペーパーを作る団体がまじめに活動していた。現場に行って学ぶというものだったので、いろいろな人と話をしていく中で、自分についても考えていくようになった。
大学の時に3年間休学をしていた。卒業をしたのは2年前だが、休学中は自分の進路に悩んでいた。ただ、好きなデザインをしていたいということで、お小遣い程度でデザインの仕事をしながらバイトを並行してというのが休学期間だった。休学期間を通して収入も上がっていったので、デザインで食べていけるのではと思って、2年前から卒業して働くようになった。私は都留市が好きというわけではないが、自分が暮らしているところで楽しく生活したいという想いがある。たまたま都留市に拠点を置いているので、できる限り都留市で楽しい生活ができればと思っていて、デザインを仕事として続けていければと思っている。」
小川さん(F)
「フリーペーパーの団体は人生にとって大きかったのでは。」
伊藤さん
「その団体に入っていなければ、今も、大学入学前のような将来の見方のままだったのではないかと思う。もともと入るつもりがあったわけではないが、なんとなく行ったら強制的にやらざるをえない環境だった。根は真面目で、そのような環境だったので取り組むことになり、それがきっかけでいろいろなことを考える機会になった。」
黒澤さん
「どういうデザインの仕事をしていたのか。」
伊藤さん
「最初は簡単なイベントのチラシ作成。個人の人が趣味で行うイベントや環境系、地域交流系のNPO団体の仕事などがあった。都留市にはデザイナー自体が少ないので、パソコンができる時点で貴重という感じで、やってと依頼されることになった。」
小川さん(F)
「休学の3年間葛藤もあったのでは。」
伊藤さん
「周りが社会人になって、正社員になってという時に、自分はまだサイゼリアで良いのに、周りは高い居酒屋に行けるというのが気になったこともあったが、慣れた。周りはどうでも良いと考えるようになった。」
黒澤さん
「大学生活の前半は教員がキーワードだった。英語の教員になりたいと思っていた。しかし、大学のパンフレットをしっかりと読んでいなくて、入学したのは教員免許が取れない比較文化学科だった。今ではその制度は変わって、教員免許は取得できるようになっている。
英語の授業をたくさん取っていたので、英文学科と間違えられるほどだった。卒業時には全部で200単位ぐらい取得して卒業した。
転機としては、3年生が終わったときに休学を2年間したこと。教育実習を経験したが、まだ教員になる時期ではないのでは、と思う自分がいた。そのため、迷う形で休学を選んだ。やりたいことをやろうと思って、世界を旅行したりする中で、キャリアの意識は教員から離れて、大学院に進むことになった。教員になりたいというキャリアイメージから、教員ではない何かがあるのではという想いを抱えて大学院に進み、大学院に通う中で、教育に関わりながらウェブの仕事をするという今の形になった。
大学に進んでから英語ではなく、文化に興味があると気づき、多文化コーディネーターの資格を大学院では取得した。また、英語の専修免許も取得した。一方で、仕事ができるようになるため、フリーランスになれるようにウェブの知識をつけていくようにした。大学院にいずれ戻りたいとも思っている。」
小川さん(F)
「教員でないと思った理由は?」
黒澤さん
「場所が固定されることが大きい。一度教員になると、見られる教育制度、仕組みが1つに固まってしまう。たとえば、高校の先生になると、毎年転勤し続ける先生はいない。県をまたぐこともない。しかし、県単位で教育方針なども違うため、一度入るとその県のことしか知ることができない。考えが固まる前に自由に動いて海外の教育を見たり、会いたい人に会ったりということを優先しようと思った。」
小川さん(F)
「今の仕事と教育は切り離して考えているのか。」
黒澤さん
「教育の仕事があればなるべく受けるが、教育でない仕事がほとんど。教育は自分にとっての一生のテーマ・関心という認識。」
山本さん
「大学時代にやりたかったのは、国文学科に入って、日本語教師になることだった。ゼミの専攻も日本語、現代語の専攻で、日本語教師の免許を取得した。国語と英語の学校の先生の免許も取得した。しかし、日本語教師をしている人に会ったら、社会に出てからの方が良いと言われた。その理由は、海外に行って教える相手は仕事をするために日本語を学ぶ人が多いということで、社会経験がある人に教えてもらいたいというニーズがあるということだった。それを素直に受け入れてしまって、とりあえず社会に出て働こうと思った。一般的に都留文科大学の人たちは就活の開始時期が遅いが、東京に行く機会が多かったので、周りよりは早めの3年生の時から動き始めた。当時はブランドイメージで企業名や一部上場会社を目指して受けている人が多かったので、そのためには早めに動く必要があると思って就活塾などにも行った。バイトで接客をしているのが楽しくて、接客を仕事にしたいと思った。最上の接客はホテル、百貨店、銀行、証券だと考えた。その中でも、最上級の接客は変動商品を売る、損をする可能性のある商品を売ることだと思って、証券会社を受けることにした。
その後、子どもが生まれて一気に子ども中心の生活になって、自分がバリバリ働いてやりたいことをやるという生活から、仕事一本ではなく、家庭という二本目の線もできた。その時に、前の仕事だと仕事一本になってしまうと思い、仕事も家庭も両立できる仕事に就こうと思った。入る前の役所に対するイメージで、定時で帰れるといった理由で役所を選んだが、入ってみると違うと気づいた。ただ、前の仕事よりは自分の生活を優先できるので、環境は変わった。これから子どもが大きくなって家庭を出たら、仕事一本という生活に戻るのではないかと思っている。ただ、この二本の線も持っていると、市民の目線になりやすくなると思う。仕事への考え方も変わったと思っている。」
小川さん(F)
「二本の線にするというのは悩んだか。」
山本さん
「前の仕事が好きすぎて、絶対に戻ると言っていた。役所に受かってもまだ迷っていた。
しかし、都留市は渋滞もないので、仕事が終わってからすぐに家に帰ることができる。そういうことも想像して、甲府に通うのは無理だと急に思って切り替えることができた。」
小川さん(F)
「相談したりはしたか。」
山本さん
「相談はいろいろしたが、役所に受かればそこに行くでしょと言う人がいたり、前の職場の人たちからは帰ってくるでしょと言われたり、自分で決めないと後悔すると思って最終的には自分で決めた。
役所の仕事は楽しいので、前の職場に戻ろうとは思っていない。役所の仕事で一本で走りたいと思っている。」
3 都留市で働くことのメリット・デメリット
伊藤さん
「田舎の環境の方が自分に合っていると思った。自分の趣味や好きなことができる環境も地方が合っていると思っている。今はDIYすることにはまっているが、安価に家を借りられたり、家を好きにできる環境というのは地方になるかと思う。
東京のデザイン会社に入るというのも方法だが、その場合はデザインの中でも写真の加工だけをやる人、切り抜きの作業だけをする人といった担当になると思う。そこから学べることも多いとは思うが、自分自身あまり要領が良くないので、一から十まで何をするか理解していないとできないというところがあるので、分業になるとうまくできないのではと思っていた。都留市だとすべて1人でやるので自分で話に行って、目的を決めて、それに即したデザインを決めるということになるが、その方が自分に合っているのと、やりがいも感じられる。お客さんとコミュニケーションをとって、デザインの成果などのフィードバックももらえる。デザインに限らず、企画なども含めて取り組む、むしろ取り組まないといけないという地方の方が合っていると思っている。そういう意味では、デメリットとしては、あまり感じていない。こういった働き方が合わない人には大変だと思う。分業制で山梨でとなると、甲府の大きな会社に行くしかなくなってくるのではないかと思う。」
小川さん(F)
「最初は就職してデザイン会社で学んでというキャリアアップを考える人が多いと思うが、一から十まで取り組むことにやりがいを感じている人は地方の方が良いということか。」
伊藤さん
「これは、お小遣い程度でもお金をもらえる都留の環境があったので気づいたこと。それをやっている中で、一から十までやらないといけないなということに気づいて、それが自分に合っているなと感じた。その方が楽で、デザインも好きなので、毎日デザインに取り組めるのは楽しい生活だなと思う。」
小川さん(F)
「いろいろなことを最初から最後まで取り組むということに対して魅力を感じる人にとって、地方は良いということだと思う。」
黒澤さん
「もともと、このテーマに対しては、交通が適度に便利で生活コストが低いが、自然が豊かといったことを言おうと思っていた。しかし、同時にこれは働くというよりは、生活のことではないかとも思った。多くの人にとって、働くというと、会社に出勤してから退勤してまでの時間がどうかということがイメージされるからだと思う。しかし、起きてから仕事に行くまででも仕事については考えることがあるし、仕事が終わってからも次の日の仕事のことを考えてということもある。そういう意味で、仕事と生活は切り離せないのではないかと思った。住みやすいから気持ちよく出勤できる。疲れた時に外に出ると自然が目に入ってなごむというのも働くメリットなのではないかと思う。働くとなると仕事の時間ばかりに目がいってしまうが、働く前後の生活などもイメージするのは大切かと思う。
たとえば、自分だと東京の大学院との行き来だけで交通費で月に5~10万円がかかっていた。そのため、どれだけ生活費を抑えられるかチャレンジをして、ある程度生活費が抑えられることがわかった。これが東京だともっと生活費がかかっていたと思う。そういう点から考えると、必要コストが少ないため、何事も続けやすい環境があると言えると思う。一方で、仕事面では業種が少なくて選択肢が少ない。また、同業の人が少ないので、モチベーションの維持が難しい。都留市だとウェブフリーランスの人もそこまでたくさんいるわけではないが、東京だと交流会などがある。そういう点では、社会の流れを意識しないとつかみづらく、最先端の技術などに置いていかれるリスクもあると思う。」
小川さん(F)
「リアルで会うということ、近くで接する機会が少ないというのがデメリットということか。」
黒澤さん
「そうだと思う。そもそも情報が入るスピードが違う。タピオカが都留市で流行ったのは東京よりもかなり後だった。ウェブの業界でいうと、自分で新しいものを作っていると思っても最先端ではないかもしれないという恐れもある。こういった情報の差は東京に通っている中で敏感に感じていた。ただ、そういうことばかり考えていると疲れてしまうという部分もある。」
山本さん
「都留市にいても駅前で就活フェアは行っていない。周りも教員志望がほとんどなので就活は意識していない。しかし、東京はあらゆるところに就職活動に関するチラシ、看板があって、リクルートスーツを着ている人がいる。それを見て気づいたので、私は早めに動くことはできたと思う。今は携帯で情報も取れるので変わっているかもしれないが、生の感覚で回りがどう動いているかというのがリアルタイムで入りづらいかと思う。自分で動きさえすれば手に入るが、アンテナをたまには意識しないといけないかと思う。」
黒澤さん
「バランスを取ることかと思う。情報過多なのも良くない。のんびりした自分もいつつ、いろいろ取り込む自分もいるといった形が良い。そのため、今も自分は週1回東京に通っている。」
山本さん
「都留市は子育てがしやすい市だと思っている。徳島に第1子の出産の時に帰っていたが、行くところがなかった。行くところはあっても、人に会えない。公園も買い物をするところもあるにはあるが、人と話をできる場所がない。都留市は保育園も多く、市の実施する子育て教室なども手厚い。姉が岡山にいるが、子どもの気を紛らわせるためにイオンに行っていると言っていた。そういう点では、人口は少ないが子育てはしやすい環境になっているかと思う。待機児童の多い都会では、子どもが生まれる前から保活をしたり、0歳児から入園させないと待機児童になってしまうので泣く泣く生後半年も経たないうちに保育園に預けたりして、自分のキャリアを途絶えさせないようにしている友達が多い。その点都留市は待機児童もおらず、いつ職場復帰するかを自分と子どもの様子で決められる環境にある。自分のキャリアを貫きながら、子育てもできる環境が都留市にはあることをゆくゆく子育てとキャリアで悩んだときに思い出してもらえるといいなと思う。
また、個人的に気にかけてくれる、心配してくれるような『都留のお母さん』が何人かいる。大学生の時、蜂の巣ができたら近所の人が取りに来てくれたり、買い物袋を持ってあげたおばあちゃんが後日野菜を持ってきてくれたり、地域の人が面倒を見てくれる人が多い。仕事をしていく面でも助けてくれる人は多く、強みかと思う。
デメリットは都内の大企業のような収入を得ようとすると難しいかもしれないこと。ただ、生活コストが低いのであまり関係ないかと思う。」
小川さん(F)
「生活コストという点に関してお聞きすると、どういう環境で都留に暮らしているか。」
黒澤さん
「長年シェアハウスに住んでいる。そのため、生活コストは安い。光熱費もWi-Fiもシェアしている。最低限の生活費として5万円あれば1か月暮らせるというのがわかった。そうすると、心が落ち着いて、できることが増えた。経済面に加えて、使える時間が増えるということも多い。やりたくないアルバイトでお金を稼ぐよりも、時間を大切にしたいと思っている。」
伊藤さん
「一軒家と事務所を借りているが、大家さんの計らいで比較的安く借りさせていただいている。極貧時代に最低限の生活費として7万円あれば奨学金を返しながら生きていけるとわかった。極貧だったのは、デザインを勉強する時間にあてたいと思ったため、バイトも最低限にしたいと思ったから。週末だけバイトをして、あとの5日はデザインにあてるという生活をしていた。自分で自由に時間が決められるというのは大きい。」
4 都留文科大学の強み・弱み
山本さん
「何もないので、やりたいことがとことんできる。大学の時は時間がたくさんあった。遊びに行くところはないが、なかったからこそ大学で過ごす時間が多く、資格を取ろうと思ったり、知りたいことを突き詰めて自由に時間が使える環境だったかと思う。図書館に朝から晩までいることもできた。
そういうところもあって、地域に出てくる都留文科大学の学生も多いというのが都留市の特徴かと思う。
弱みとしては、他の大学からの刺激が少ないこと。同じような系統の大学がないので、他の学生と自分の立ち位置を図りにくいので、就活が遅れるといったこともあると思う。ただ、これは普段の心がけではないかなとも思う。」
黒澤さん
「私も強みは、地域との関わりが深いところだと思う。自分が都留に残った一番の理由はここになる。
東京の大学にも通ったことがある者として意見を言うと、都留市はイベントやまちの催しが多いので、参加しやすいという強みがある。都留文科大学はサポート体制も手厚い。たとえば、比較文化学科では助成金をもらってシンガポールに行けた。チャレンジしやすい場が整っていると思う。大学だけでなく、それは地域でもそうだと思う。
弱みはあまり思いつかない。」
伊藤さん
「私もお二方と同じように、強みは地域に開かれている点、使える時間が多いことかと思う。
弱みとしては、地域に出ているのに安心すると、井の中の蛙になる可能性があること。就職活動を通して大企業を目指した人の方が、もまれていてメンタルが強いということもあると思う。地域はやさしい人が多いので、全国で通用するものになっているのかというのはわからない。時々自分の選択自体が甘えではないかと思うこともある。
マイペースで勉強をすることができるが、ライバルがいないので、自分からつかむ努力をしないと自分の立ち位置がわからなくなるというのもある。都留市でうまいねと言われていて満足していてはいけないんだろうなと思う。
これは、意識が高いというよりは、好きな事をやっているので、どうせなら良いものを作りたいとなるのだと思う。」
5 大学生の時にやっておいたほうが良かったこと
山本さん
「自分に時間を使い過ぎたという想いはある。地域にもっと早く出ておけば良かったと思う。地域と関わる学科でなかったというのもあるが、地域と関わる学科の友人は学生時代にも地域の古民家を直していて、今でも地域の人とつながっている。当時地域に関わって入れば、もっと考え方も変わっていたのではないかと思う。
地域に出てみたいけど、どうしたら良いかわからいという方がいたら、企画課に来てもらえればと思う。7月の広報で市の職員の採用も募集するので受験を考えてみるのもありだと思う。当時は大人と触れ合う機会は少なく、学生の中だけで過ごすという形だった。地域の人の話を聞くというのは全然違う経験になると思う。」
黒澤さん
「チャレンジはやればやるほど良いと思う。学生の時はリスクが少ない。食事をするのでも、都留市だと外れは少ない。地域のイベントはあったらすべて参加していた。都留市は受け入れてもらいやすいチャンスがあるまちだと思う。制度や場を知って、実際に行ってみるというのが大切かと思う。
都留市であれば、自分が何かをやりたいとなったときに支援してもらえる。東京の大学だと、何やかろうとしたときの学校側からの支援や、地域との連携が取りづらい場面が多い。」
伊藤さん
「後悔はあまりない。何かをやってみるというのは大切。そして、それを真剣に取り組むのが大切かと思う。地域はやってみたいというと、すぐにやってみようになるので、一歩目は簡単にできる。本当に難しいのは、それを継続していくこと。その中に学びがたくさんある。1回だけのことは、楽しかったで終わるが、楽しかったねだけで終わってしまうというのもある。」
6 質疑応答
質問者さん
「どうしてノーマルから外れることができたのか。そのきっかけとなった体験はあるか。」
黒澤さん
「大学2年の春休みに海外旅行に行った。その時宿泊したゲストハウスの屋上で話した29歳のイギリス人から、18歳若いね。日本人っていろいろ早いよねと言われたのが、世界観を壊されたきっかけだった。世界の常識はさまざまだなと思った。」
伊藤さん
「同じ学年がしっかりした会社に就職して、高い居酒屋に行けるようになっているが、自分はサイゼリアのままといったギャップに悩むことはあった。考え方が変わった理由は2つで、1つはサイゼリアにしか行けないと友だちに正直に伝えると、友だちもこいつはおかしなやつになったという扱いになってくる。そうすると、自分に合わせてくれたり、おごってくれたりするようになって、周りからの自分の見方が変わってくる。最初の1年は大丈夫などと心配されるが、1年経つと見方が変わってくるので問題なくなった。
もう1つは、極貧時代にしていたバイトの経験から。スナックを何十年もやったがスナックができる年でなくなったのでそのバイトをやっている人や、昔ホームレスをやっていたといった人などに会ったが、みんなしっかりしたお金を稼いでいるので最悪死ぬことはないと思った。また、お酒も飲んで楽しそうに生活しているので、それで良いのだと思えるようになった。」
山本さん
「私はノーマルを外れるのが怖い。私のような人が都留市に住み続けるためには市役所は良い選択肢かと思う。市役所職員で都留文科大学出身者は多い。どこの部署には1人はいる。今も隣の席は文大卒業生。前の部署も目の前二人は文大出身だった。都留出身でなくても都留市役所に就職する人は多い。」
小川さん(F)
「市役所の採用試験でなぜ地元ではなく都留市なのかと聞かれることもあるのかと思う。」
山本さん
「大学4年間育ててもらった恩返しをしたい気持ちもあったのと、人とのつながりで都留市が良いなと感じたことがあったので、それを伝えた。」
質問者さん
「これからは自分で仕事をつくることが大切になると思う。人との関わりという面で、どういうことを大切にしているか。」
伊藤さん
「寛容に受け入れるということ。都留の人は地域というくくりなだけなので、いろいろな人がいる。都会は自分の好きなコミュニティに入れるが、都留市はそういうものがない。東京ではデザイナーだけである程度の人数が集まる集まりがあるが、都留市だと会社を経営している人の集まりのような広い分野での集まりになる。
最終的には地域の中なので、みんなにつながっていくので、どんな人も受け入れて良い塩梅で付き合おうという心持ちでやっている。」
黒澤さん
「大学生の時にカフェを作ったのが自分なりのチャレンジだった。その時に大切にしていたのは、同じ志を持てる人。良いねと言ってくれる人をしっかりと集めること。自分が目立たないとそういう人は集まらないので、まずは自分が表に出ること。自分はそれだけを100%で学生時代は取り組んできた。
ただ、今考えると、それが70%で残りの30%として、違うコミュニティや真逆のことを考えている人と出会ったり、話を聞くというのも大切かと思う。理由としては、結局みんなつながるから。また、続けるためには同じ志の人たちだけでは続かない。常に幅広く見る目を忘れずにいることが大切かと思う。」
質問者さん
「民間企業と公務員の就職活動をどちらにするか迷っている。民間と公務員の働き方の一番の違いはどこか。」
山本さん
「民間は営利目的なので、会社が儲かれば良い。利益になれば、そのお客様だけのためということがあって当たり前。一方、公務員は全体の奉仕者なので、個々のターゲットだけのためにできるわけではなく、全体のためにどれが最適なのかという観点で仕事をする必要がある。
民間の時は自分の意思と反したことも起きてしまう商品だったので、多少の罪悪感を持ちながら仕事をしていた。今は市民の人がどうしたら生活しやすくなるかといったプラスの方向で考えることができる。
どちらか迷うのであれば、OB訪問やインターン、実際に訪問すると面接でもわかると思う。仕事は対人なので、今決めるのではなく、とりあえず動いてみるのが良い。どちらも楽しいとは思う。」
終わりに
伊藤洋平さん(まちのtoolbox代表)
「本日は『これからの働き方を考える』ということで、都留文科大学の卒業生の皆さんにお話しいただいた。おかげで都留の良さ、都留文科大学の良さというのが非常に明確になったと思う。
実はこの取り組みは、私たちが進めている都留市の仕事創出の取り組みの一部に当たるもので、その大元は都留市の『生涯活躍のまち』という構想。私たちはこの構想について、『都留市をどんな世代の人でも、どんなチャレンジでもできるまちにしよう』という意味合いだと解釈し、今回の様なイベントをたくさん打ち出している。今回のお話は、都留市がそういった部分で土壌があるんだなと感じさせていただけるようなお話になったかなと思う。」
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LINEで友だちになる冊子でじっくり!
都留の環境・文化・移住情報を
知りたい方へ
丸わかり資料セット(無料)
この記事を書いた人